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【2018年版】国内EC市場規模(物販系分野)は9兆円規模へ!EC化率6.22%へ成長

2019.08.30

2018年度(平成30年)の国内EC市場規模が2019516日に発表されました。今回の発表で国内EC市場は順調に成長を続けており、まだまだ伸びる市場であることが示されております。この記事では、今回の報告のレビューから、国内EC市場の展望を記載したいと思います。

 

BtoC-EC 市場規模

 2018年の国内BtoC_EC市場規模は17兆9,845億円であり、前年16兆5,054億円から約1兆4,800億円(伸び率:8.96%)プラスで着地しております。また、BtoC_EC市場は3つの分野で構成されており、それぞれ「物販系分野」「サービス系分野」「デジタル系分野」(※各分野の詳細説明は参照元のデータを確認下さい。)となります。今回の記事では、物販系分野の数値に注目します。物販系分野とは、食品・家電・化粧品・雑貨・アパレルなどの消費財(有形財)の市場規模を示しています。簡単に言えば、ECで何かを注文した際に、家に配送されてくるモノの流通額が物販系分野に含まれ、旅行予約やゲーム課金なのどのサービスに対する流通額がその他の分野に入ります。2018年の物販系分野の市場規模は92,992億円で着地しており、前年の86,008億円から約7,000億円プラスで着地しております。そして、物販系分野の数値のみで算出されるEC化率は6.22%となり前年5.79%から約0.43ポイント上昇している結果となりました。まずは、日本のEC市場がこのような状況であることを把握しておきましょう。

❚ 物販系分野の市場規模に関して

物販系分野の市場規模を確認してきます。経産省のデータによると以下のような数値であることが分かります。

この数値からEC化率の高いジャンルと低いジャンルが浮き彫りになります。

■EC化率の高いジャンル(平均のEC化率6.22%より高いジャンル)

  • 事務用品、文房具(79%
  • 生活家電、AV 機器、PC・周辺機 器等(28%
  • 書籍、映像・音楽ソフト(80%
  • 生活雑貨、家具、インテリア(51%
  • 衣類・服装雑貨等(96%

■EC化率の低いジャンル(平均のEC化率6.22%より低いジャンル)

  • 食品、飲料、酒類(64%
  • 自動車、自動二輪車、パーツ等(76%
  • 化粧品、医薬品(80%

 EC化率が高いジャンルは「型番商品」と呼ばれる商品が多くなります。商品のスペックが一定であり決まっているため、最後は価格が安いお店が選ばれることになります。従って、リアルで購入しなくても、ネットでお得に購入できれば消費者として満足であり、このような財のジャンルはEC化率が高くなる傾向があるのです。家電量販店でのショールーミングという言葉が広く出回っているように、リアル店舗で購入するよりも、Amazonで購入したほうが安い場合はAmazonで購入することを多くの消費者が選択する商品であると言えます。

 一方で、EC化率が低くなる傾向がある商品は、人の嗜好によって左右さる商品や、商品ごとにそれぞれスペックが異なったり、商品名を検索することが困難なオリジナル商品となります。これらの商品を「非型番商品」ということがあります。ある意味JANコードが付いていない商品なども非型番商品という場合もあります。非型番商品は検索で商品を発見できない場合や、価格を比較することが出来なかったり、一般では出回っていない商品のため、人から説明(接客)をされないと購入に至らないケースが多くあります。従って、ネットよりもリアル店舗での購入が多くなるとされており、EC化率が低くなると言われています。この非型番商品の定番としては、食品ジャンルにおける「お取り寄せ品」や「訳あり品」などが当たります。通常のリアル流通では販売されていないレアなお取り寄せ品や通常品を製造する過程で出てしまう訳あり品などは、まさに非型番商品と言えます。但し、1点食品ジャンルにおいては、そもそもの市場規模が60兆円規模となります。毎日スーパーで買い物をしたり、コンビニで食べ物を購入したりするものすべて母数にカウントされています。そのため、EC化率が低くなるとされていますので、EC化率の母数も影響することは理解しておきましょう。

 最後に、EC化率の結論としては、型番商品は今後もEC化率はどんどん高まってくると予測できます。大手家電量販店がダイナミックプライシングを全店舗で導入するという発表が日経新聞よりだされておりました。

※日本経済新聞記事:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44938930X10C19A5TJ3000/

これは、店舗での販売価格をすぐに変更して、ネットに対抗する施策の1つです。要するにEC化率が高いジャンルのリアル店舗はこのような市場の動きになってくることが今後は予測されます。一方で、非型番商品はEC化率が低いため、今後はいかにネット上で商品の良さ、特徴を伝えていくかがポイントとなります。現在は、ロングなLPを作って販売する食品系の企業様が多いと思います。しかし、徐々にライブコマースを活用して、農家さんが直接消費者へ販売するようなEC経済活動なども現れてきております。そして、5G時代になることでライブコマースの市場規模がより勃興してくることが予測されます。そうすることで、非型番を取り扱う事業者が直接的に消費者へ商品を販売することがより容易に可能となり、非型番商品のEC化率が増加してくると考えられます。

❚ 日本のECはまだまだ発展途上

 今回の記事では日本のEC市場、特にBtoC_ECにおける物販系分野の内容を確認してきました。そして、これらの数値から感じることとしては、日本のEC市場はまだまだ成長の余地が存分にのこされているということです。特にEC化率(商取引市場規模に対するECの比率)がその成長の余地を物語っています。なぜなら、日本のEC化率は全体として6.22%(物販系分野から算出)しかないからです。要するに、日本人の多くは、消費財を購入する際に、6%程度しかECを利用していない説くことです。残り、約94%はリアル店舗で購入する選択肢を取っていることになります。この94%に上るリアルでの消費行動をネットで購入してもらえるようにすることが、EC業界に身を置くものとして考えていかなければならない課題であると日々感じております。

また、今回の記事では詳しくは記載しませんが、日本のECにとってはリアルとの融合が非常に重要であるという考え方も捨ててはなりません。リアル店舗との融合(デジタルとアナログの融合)を実践することで、消費者に新たな購買体験を感じてもらう。そのようなことも同時に検討しながら、EC市場を活性化させていく必要があるのです。デジタルとアナログの融合に関しては、改めて記事にしていきたいと思います。

参照元データ

平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)

 

著者:ECコンサルタント 氏原亮介

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