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【EC事業計画作成】これだけは押さえたい、EC事業計画の作成方法について


「来週までに、EC事業計画を作成して提出しなさい」
EC事業の担当者の仕事の1つ、それが「EC事業計画作成」です。 EC事業領域でなくとも、企業に属しているビジネスマンである以上、事業計画を作成して提出することは当然のように必要な業務となります。
今回の記事では、EC事業計画を作成する必要があるビジネスマン向けに、どのようなポイントに注意してEC事業計画を策定する必要があるのかを記載して行きたいと思います。
そもそも「事業計画」とは何か?

まず、EC事業の計画策定の方法説明に行く前に、そもそも事業計画とは何か?その目的はどこにあるのか?といったことを、改めて記載して行きたいと思います。
この辺のことはすでに分かっているという方は、読み飛ばしてもらって問題ありません。
それでは早速、私が考える事業計画を一言で表すと以下の様になります。
「事業計画」=「必ず実現すべき未来に対するKPIの集合体」
この言葉に納得いただける方もいれば、そうでない方もいるでしょう。
しかしながら、私が考える事業計画とは上記のような内容です。
まず、大切にして頂きたいところは「必ず実現すべき未来」という部分です。
事業計画を立てるのであれば、それは必ず実現しなければなりません。
ビジネスである以上、これは絶対に外してはいけないポイントです。
ただ単純に数字を並べて、上司へ報告するためだけの事業計画を策定することには、まったく意味がありません。
そのレベルの話であれば、時間の無駄ですので、事業計画などそもそも作らない方がよいでしょう。
必ず実現させる未来に向けて、そこに本気になるために作成するものが事業計画となります。
次に、「KPIの集合体」という部分です。
この記事を読んでいてKPIという言葉を知らないという人は少ないかと思いますが、念のためKPIに関しても記載をしておきます。
KPIとは、Key Performance Indicatorの頭文字をとった言葉で、日本語にすると重要経営指標や重要業績指標などと訳されます。 これだけではよくわからない方もいるかと思いますので、目標との関係性で説明をすると分かりやすくなると思います。
【例】
目標:来年度のECサイトの成長率を2倍にする!
目標数値:来年度売上数値1億円(本年は5,000万円着地)
KPI:セッション数・購買率・年間平均客単価など
KPIのそれぞれの目標数値として、以下を設定。
セッションKPI:サイトへの年間セッション数を400,000/年とする
転換率KPI:5%
年間平均顧客単価KPI:5,000円
上記の例から、KPIがどのようなモノか少しは感覚でつかんでいただけましたでしょうか。
要するに、全体としての目標は売上になることが多いと思います。
その売上目標や目標数値を達成させるために、「注視して追いかけていく必要がある重要な指標」のことをKPIと呼んでいます。
売上=セッション数×購買率(CVR)×年間平均客単価で算出されますので、例に記載した通り、この3つをKPIとして設定しております。
KPIの意味が理解できたところで、話を事業計画に戻します。
事業計画とは何か?という問いに対して、事業計画とは「必ず実現すべき未来に対するKPIの集合体」と私は表現しました。
「必ず実現すべき未来」がいわゆる「目標」となります。 この目標を達成させるために重要となる指標がKPIであり、事業計画とは、目標を達成させるために重要となる指標で構成されている必要があるのです。
ここまでで、事業計画が何なのかということは理解できたかと思います。
それでは、この事業計画の目的を次に記載します。
事業計画自体は「必ず実現すべき未来に対するKPIの集合体」と考えることができます。
では、この事業計画が果たす目的は何か。
私が考える事業計画の1番の目的は「組織の【向き】を合わせること」にあると考えます。
事業計画を立てることで、具体的に数値を見ることが出来るため、何をするべきなのか(ある意味KPIの確認)が明確になります。
そうなると、各組織に属している人が、それぞれどの数値を達成するために動けばよいかわかるようになります。
例えば、自身がプロモーションを担当しているとしましょう。
事業計画内のサイトセッションの項目に100,000/月と書いてあった場合、いかにしてプロモーションを組んでこの数値をクリアしていくかという考えになるはずです。
これがプロモーションチームであれば、チーム全体として、いかに目標集客人数を達成するかというチームの動きになります。
この様に、事業計画は各チーム、各個人のビジネスの動きに直結しなければなりません。
そして、人を動かし、組織を動かしてく、その軸として事業計画というものが存在していなければならないのです。
EC事業計画の作り方
そもそも事業計画とは何か?という話を理解いただいたところで、EC事業計画の作り方に入っていきたいと思います。 まず、EC事業計画においては、利益は営業利益までを算出することにし、経常利益は考えないことにします。 なぜなら、経常利益は営業外損益ですので、営業外のことを今回は省く形で説明をして行きたいと思います。
※経常利益が必要な場合は営業利益を算出した後に調整します。
まず、EC事業計画に必要な項目から整理します。まずは、売上を構成する数値から整理して記載して行きます。
<売上部分構成要素>
① EC売上高
② セッション(アクセス人数)
③ CVR(転換率・購買率)
④ 平均購買単価(平均客単価)
⑤ 購買件数(取引数・トランザクション数)
⑥ 各①~⑤の指標の昨年との対比率
<コスト部分構成要素>
⑦ 製品原価/製品原価率(製品の平均原価率から算出 or 販売製品の平均原価から算出)
⑧ 売上総利益/粗利率(EC売上高から製品原価を差し引いて算出)
⑨ 配送費用(1件当たりの配送金額×購買件数にて算出)
⑩ 販売ECサイト手数料(決済手数料などすべて込み)
1. 楽天市場の場合は4つの各プランによって費用が異なります。
楽天に出店する事で掛かる費用
● システム利用料(売上に応じた従量課金手数料)
● 月額出店料
● システムサービス利用料金
● 楽天ポイント1%分
● モールの安心安全手数料
● アフィリエイト費用
● 決済サービス手数料
● R-Messe課金
などがあります。
詳しくは、楽天市場の出店社募集ページにて費用の掲載ありますので、そちらをご覧いただければと思います。
(https://www.rakuten.co.jp/ec/plan/)
一般的にスタンダードプラン・メガショッププランの企業様で月々の売上高の約11%~12%程度が楽天の手数料として計算しておけば、良いかと思います。
がんばれプランの企業様は13%前後で計算されると良いかと思います。
2. Yahoo!ショッピングの場合は、初期費用:無料、 月額システム利用料:無料、売上に応じた従量課金手数料:無料であり、基本的に出店するだけであれば無料でお店を出すことができますが、完全無料というわけではありません。
Yahoo!に出店することで掛かる費用
● ポイント負担分:売上に対して2.5%分
● アフィリエイト:1%
● アフィリエイトパートナー:報酬原資の30%分
● カード関連の決済手数料:約3%前後
Yahoo!ショッピングで商品を販売すると、約6.5%前後が費用として掛かります。
詳しくはYahoo!ショッピングの出店募集HPを確認ください。(https://business-ec.yahoo.co.jp/shopping/cost/)
3. PayPayモールの場合はYahoo!ショッピングの費用に追加3%を加えている状態となります。ですので、約9.5%前後が費用となります。
4. 最後にAmazonの費用ですが、Amazonは「大口出品」の場合、固定として月々4,900円が費用として掛かります。
販売手数料は販売する商品のカテゴリーによってことなりますが、基本は8%、10%、15%となります。
そのため、自社の出店カテゴリーを確認し、費用をチェックしていきましょう。
5. 最後に公式サイトに関してですが、こちらは、ECシステムのプラットホームによって異なりますが、 ASPであれば利用料が掛かり、オープンソースやパッケージなどを利用した場合は、サーバ費用やSSL、決済会社への初期費用、決済月額費、決済手数料などがかかります。
ASPの場合、「Make shop」であれば、初期費用1万円&月額1万円+クレジットカード費用4,750円/月+3.6%程度の手数料となります。
この様に、公式サイトに関しては、利用するカートによって費用が発生します。
また、オープンソースやパッケージを選択された場合は、システムの保守費用なども発生する場合もありますので、注意しましょう。
⑪ 広告費用
1. Google/Yahoo!のリスティング費用
2. リマーケティング広告費用
3. SNS広告(Facebook・Instagram・Twitter・LINEなど)
4. YouTube広告
5. インフルエンサー/アンバサダー費用
6. 一般認知広告媒体(TV広告・雑誌広告・タクシー広告・サーネイジ・交通広告)
広告予算に関しては、売上に対して何%程度の広告費を利用するかによって計画が変化するかと思います。 新規でECを立ち上げる場合、特に垂直立上げをして行きたいと場合などは、売上以上の広告費/販促費を投下する必要が出てきます。
⑫ 固定費(その他費用全般)
1. 人件費
2. 外注費
3. 保険関連費用
4. 出張費/交際費
5. 雑費
6. 管理費
7. 地代家賃
8. 減価償却費
9. 引当金/評価損金等
その他、固定費として計上するべき費用は上記のような費用を設定する必要があるかと思います。 この辺りの費用は会社によって、本部管理になっている企業もあれば、各事業部別で個別にマイクロ管理がされている場合もあるかと思います。
ですので、項目に関しては、各企業で必要とする項目をそれぞれ設定していただき、算出していただければよいかと思います。
項目からの算出の仕方数値の具体的な根拠
事業計画に必要な項目を理解したところで、これらの項目のつながりを、計算式にてExcelへ入力していく作業を行います。 まずは、売上部分構成要素における5つの項目を利用してExcelに計画表を組んできます。
EC売上高=セッション数×購買率(CVR)×年間平均客単価
上記の計算式でEC売上高は算出されます。
また、⑤の購買件数に関しては、EC売上高を算出した後に、平均購買単価でEC売上高を割ることで算出します。
そこで出てきた数値が購買件数となります。
ここまでで、各項目の計算式のつながりはわかっていただけたかと思います。
しかしながら、そこに入れ込む数値は如何にして具体的な根拠を基に、入力していくべきなのでしょうか。
そこで、下記に、入力数値の根拠として算出する時に活用する内容を記載します。
1. 過去の売上実績と市場環境に基づいて算出していく。
2. アクセス・CVR・客単の過去実績から算出していく。
3. 売上目標から逆算して算出していく。
4. 活用できる広告コストから算出していく。
5. 販売する商品ジャンルの市場動向を加味して算出していく。
5つの根拠の算出方法を記載しましたが、私がおすすめしているやり方としては、この5つを全て混ぜ合わせて確からしい数値へ導いていくことです。 難しそうだと思う方は、どれか1つだけの根拠算出方法から実践していけばよいかと思います。
出来上がった数値を他の根拠算出方法に当てはめてみて、正しく説明が出来るか否かをチェックしていくのです。
そうすることで、事業計画としての実現可能性が高まり、達成するに値する目標として進める事が出来るのです。
事業計画を作る際の参考Excel
ここまで記事をお読みいただきまして、ありがとうございます。 ここまで読んでいただいた方も、そうでない方も、実際にEC事業計画のExcelフォーマットをダウンロードできるようにしておきますので、ご利用なさってください。
※注意※
ただしこちらのフォーマットが完全に正しいわけではございませんので、ご利用する場合は、ご利用者の全責任で使ってください。
数値の違いや理解の違いなど、こちらの事業計画フォーマットを利用したことで発生する損害の責任を弊社は一切負いませんので、予めご了承下さい。
まとめ
事業計画を策定することは、多くのビジネスマンに必要とされる能力の1つです。 事業計画を作成することが苦手な方や、そもそもEC事業の計画を作ったことのない方は、まずはこの記事からヒントを得て頂き作成するところからスタートすることをおすすめ致します。
ただし、事業計画は立てることがゴールではありません。それを実行して実現することが大切ですし、実現して初めて意味を持つものとなります。
「事業計画」=「必ず実現すべき未来に対するKPIの集合体」という考え方を外さないようにしましょう。
クレセントでは、事業計画の策定を含めた総合的なコンサルティングサービスを提供しております。
事業計画を策定することに対して、弊社のサポートを検討されるお客様は、是非お問い合わせいただければと思います。

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