BLOGECコンサルブログ
EC事業立ち上げで失敗しない5つのステップ【戦略編】


執筆:株式会社Crescent ECコンサルティングチーム
(この記事は約8分でお読みいただけます)
「ECを始めれば売れる」という時代は終わりました。国内EC市場は年々拡大しているものの、新規参入した事業者の多くが1〜2年以内に伸び悩み、撤退を余儀なくされているのが実情です。
株式会社Crescentではこれまで数百社以上のEC事業を支援してきた経験から断言できることがあります。
EC立ち上げで失敗する企業の最大の共通点は、「EC戦略・売上計画(事業計画)を作らずにスタートしてしまうこと」です。
感覚や勢いでEC事業をスタートした結果、どのくらいの期間でいくらの売上が立つのか、黒字化するのはいつなのか。これらの見通しが立たないまま投資だけが先行し、気づけば赤字の深みにはまっているケースが多いと考えております。
本記事では、EC事業を確実に軌道に乗せるための「5つのステップ」を、専門家の視点から体系的に解説します。これからEC事業の立ち上げを検討されている経営者・事業担当者の方にとって、是非、読んで頂きたいと思います。
EC事業立ち上げの成功率はなぜ低いのか
経済産業省の調査によると、日本のBtoC-EC市場規模は年々拡大しており、デジタルシフトの加速により参入障壁は以前に比べて大きく下がっています。しかし、参入のしやすさと事業の成功率は別の話です。
EC事業立ち上げが失敗しやすい主な原因として、以下の3点が挙げられます。
-
計画なき参入
:
「とりあえずやってみよう」という勢いで事業計画を立てずにスタートする。
-
チャネル選択ミス
:
自社商材の特性・顧客属性を考慮せずに販売チャネルを選んでしまう。
-
PDCAが回せない
:
立ち上げ後の運用体制・KPI管理の仕組みが整備されていない。特に運用体制が整備されていない状態でEC事業を行うのは99%失敗します。
これらの失敗を避けるために必要なのが、正しい順序で戦略を組み立てる「5つのステップ」です。次に、5つのステップを紹介したいと思います。
EC立ち上げで失敗しない5つのステップ
Crescentが多くのEC事業立ち上げ支援を通じて確立した、成功確率を高める5つのプロセスをご紹介します。
ステップ1|市場調査・現状分析(参入する市場とEC環境を正しく把握する)
EC事業の成否は、最初の「現状把握」で8割が決まると言っても過言ではありません。市場全体のトレンド把握と、自社を取り巻く競合・顧客・業界環境の分析を徹底して行います。具体的に調査・分析すべき項目は以下の通りです。
-
市場規模と成長性
:
参入カテゴリーの市場規模、成長率、季節性トレンド
-
競合調査
:
競合他社の価格帯・商品ラインナップ・強みと弱み
-
顧客インサイト
:
ターゲット顧客の購買行動・検索ワード・重視する価値
-
自社リソース確認
:
在庫・物流・CS・システム面での現状把握
重要
競合調査を怠ると、価格競争に巻き込まれるか、差別化できない商品でEC市場に参入するリスクが高まります。要するに価格勝負しか手がなくなります。「なぜ自社の商品が選ばれるのか」を言語化できる状態にしてからスタートすることが大前提です。
ステップ2|EC戦略策定(チャネル選定含む)
市場と自社の現状が把握できたら、次は具体的な「EC戦略」の策定です。この段階で最も重要な意思決定のひとつが、販売チャネルの選択です。ECの主要チャネルには大きく2種類あります。それぞれに特徴がありますので、概略をまとめて記載をしておきます。
| 項目 | モール出店(Amazon・楽天・Yahoo!など) | 自社EC(MakeshopやShopifyなどのASP・EC-CUBEなどのオープンソース・スクラッチ開発。) |
|---|---|---|
| 集客力 | モールのトラフィックを活用できる | 自社で集客する必要がある |
| コスト | 手数料・出店費用がかかる | 初期費用・システム費用・保守費用が発生 |
| ブランド構築 | 難しい(モールの顔が前面に出る) | 自由度が高くブランドを育てやすい |
| 顧客データ | 取得しにくい(できない場合あり) | 蓄積・活用しやすい |
| 向いている商材 | 汎用品・価格競争力がある商品 | ブランド商品・リピート型商品 |
どちらが正解ということはなく、自社の商材・ターゲット・リソース・目指すブランドポジションによって最適解は異なります。「とりあえず楽天」「費用が安いからShopify」という選択は危険です。EC事業戦略に基づいてチャネルを決定してください。
ステップ3|事業計画策定(売上・KPI設計)※最重要
Crescentへご依頼いただく企業様で「EC事業の成長が鈍化している、立ち上げ後にうまくいっていない状態」の企業様が多く、その特徴としては、「事業計画を作らずにスタートした」ということが多いです。従って、このステップを軽視すると、後のEC事業に関わるすべてが機能しなくなります。
EC事業計画に盛り込むべき主な要素は以下の通りです。
-
売上目標(月次・年次)
:
何年後に何億円を目指すのか、フェーズを分けて設定する。
-
損益計画
:
売上原価・広告費・システム費・人件費・モール手数料などを試算し、黒字化時期を明確にする。(想定されるコストを洗い出していくこと)
-
KPI設計
:
訪問者数・転換率・客単価・リピート率など、売上分解ツリーをもとに管理指標を設定する。
-
投資計画
:
初期投資とランニングコストどのように投資して、いつ回収するのかを明示する。
特に重要なのが「売上分解」と「LTV分解」の考え方です。
EC売上 = 訪問者数 × 転換率 × 客単価
LTV = 平均単価 × 平均購入回数 × 継続期間(基準期間)× 収益率
この4つの指標をどのレベルに引き上げれば目標売上を達成できるのかを逆算し、各施策に落とし込むことで、感覚に頼らない「数字で管理できるEC事業」が実現します。
ステップ4|ECサイト構築(戦略を反映した設計でECサイトを構築する)
事業計画が固まったら、いよいよECサイトの構築フェーズです。ここで重要なのは、「デザインの好み」ではなく「戦略とKPIを反映した設計」でECサイトを構築することです。
構築時に押さえるべきポイントを以下に示します。
-
UI/UX設計
:
ターゲット顧客が迷わず購入できる動線設計・商品ページ構成
-
スマートフォン対応
:
EC購買の60〜70%はスマホ経由(商品ジャンルによる)モバイルファーストで設計する。
-
検索エンジン最適化(SEO)
:
商品名・カテゴリ・コンテンツ設計でオーガニック流入を確保する。また、現在であればLLMOやAIOなども重要な観点となります。
-
システム連携
:
在庫管理・決済・CSシステムとのAPI連携を設計段階から考慮する
-
計測基盤の整備
:
GA4・各種タグの設置、転換率計測の設定を必ず行う
構築を急ぐあまり、「とりあえずECサイトを構築・公開した」状態では初期の転換率が低くなり、広告費が無駄になります。戦略→計画→設計の順番を守ることが重要です。
ステップ5|運用開始・PDCA(数値を見ながら継続的に改善し続ける)
ECサイトが公開されたら、「作って終わり」ではありません。EC事業で成果を出すためには、継続的なPDCA(計画→実行→評価→改善)のサイクルを回し続けることが不可欠です。
運用フェーズで実施すべき主な施策は以下の通りです。
-
集客施策
:
SEO・リスティング広告・SNS広告・メルマガ・アフィリエイトなど
-
CVR改善
:
EC購買の60〜70%はスマホ経由(商品ジャンルによる)モバイルファーストで設計する。
-
リピート促進
:
メール/LINE配信・ポイントプログラム・定期購入設計など
-
KPI月次レビュー
:
事業計画との差異分析・優先施策の見直しなど
重要なのは、月次・週次でKPIを確認し、計画とのズレを早期に発見して軌道修正することです。これができるかどうかが、EC事業の継続的な成長を左右します。
重要
上記に記載した内容はあくまでも想定です。つまり、運営するECサイトの問題点や問題が発生している原因次第で、実施する対策は変わります。ですので「他社がやってるから自分たちもやろう!」は間違っています。あなたのECサイトに合った施策を運用していくことが重要となります。
5つのステップのまとめ
| ステップ | フェーズ | 主なアクション |
|---|---|---|
| 1 | 市場調査・現状分析 | 市場規模・競合・顧客インサイトの把握、自社リソース確認 |
| 2 | EC戦略策定 | チャネル選定・商品戦略・差別化ポイントの言語化 |
| 3 | 事業計画策定 | 売上計画・損益試算・KPI設計・投資計画の策定 |
| 4 | ECサイト構築 | UX設計・SEO・システム連携・計測基盤の整備 |
| 5 | 運用開始・PDCA | 集客・CVR改善・リピート促進・月次KPIレビュー |
よくある質問(FAQ)
最後に、弊社へお問い合わせいただく、よくある質問を記載しておきます。
-
Q
EC事業立ち上げにはどれくらいの期間がかかりますか?
-
A
チャネルや商材規模によって異なりますが、市場調査〜ECサイト公開までを丁寧に進めると、一般的に3〜6ヶ月程度を要します。もちろん、クライアント様のご事情もあるかと思いますので、その際は必須項目だけに集中して短期間で実施することもございます。ただし、急いでECサイトを構築しても、計画が不十分だと公開後に課題が噴出するため、最低限の準備期間は確保することを推奨します。
-
Q
最初のチャネルはモールと自社ECのどちらがおすすめですか?
-
A
一概には言えません。これこそまさに、競合分析や商品分析をして決めるところです。EC事業の立ち上げ初期でブランドが未確立な場合は、モール(Amazon・楽天・Yahoo!)から始めることで既存の集客力を活用できます。ブランドが確立されている、またはリピート購入を促進したい場合は自社ECの構築を並行して検討します。
-
Q
事業計画はどの程度の精度で作ればよいですか?
-
A
最初から完璧な精度は求めないことが重要です。ただし「売上目標×KPI×損益分岐点」の3点は必ず明確にしてください。計画の精度は運用しながら高めていけますが、計画がなければPDCAを回す起点がなくなります。
-
Q
EC事業立ち上げを専門家に相談するメリットは何ですか?
-
A
EC業界は変化が速く、モールのアルゴリズム変更・広告単価の上昇・物流コストの変動など、常に最新情報をキャッチアップする必要があります。専門家に相談することで、最新のEC知識とリアルな成功・失敗事例をもとに、自社に最適な戦略を短期間で構築できます。
まとめ
EC事業で成功するための5つのステップを振り返ります。
-
市場調査・現状分析
:
参入市場と自社環境を客観的に把握する
-
EC戦略策定
:
チャネル選定を含む差別化戦略を設計する
-
事業計画策定
:
売上計画・KPI・損益計画を数字で描く(最重要)
-
ECサイト構築
:
戦略に基づいたUX・SEO・計測基盤を整える
-
ECサイト運用開始・PDCA
:
データを見ながら継続的に改善し続ける
EC事業立ち上げの成否は、最初の設計と事業計画の質によって大きく左右されます。「なんとなくスタートした」企業と「戦略・計画・体制を整えてスタートした」企業では、1〜2年後に大きな差が生まれます。
株式会社Crescentは、EC事業の戦略策定から立ち上げ・運用まで一貫してご支援できるEC専門のコンサルティングファームです。「何から始めればいいかわからない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
Crescentの無料相談・お問い合わせはこちら。
EC事業の立ち上げ・戦略策定・ECサイト構築まで、まずはお気軽にご相談ください。

2015年早稲田大学大学院/経営管理修士(MBA)、現在、ECコンサルティングはもちろんのこと、組織コンサルティングや新規ビジネスプロジェクト等、様々な企画へ参画し、その辣腕を発揮している。
関連記事
当サイトでは、サービス向上およびお客様により適したサービスを提供するため、クッキーを利用しています。 当サイト利用状況を分析したり、お知らせ(広告)を最適化したり、SNSへの連携を行うことを目的としています。 また、当社では、お知らせ(広告)と分析の用途で、サードパーティークッキーにも情報を提供しています。 お客様には、クッキーを許可するかを選択する権利があります。 詳細は当社のクッキーポリシーを確認してください。
承諾
Cookies policy
