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Amazonに出店するメリット・デメリットを徹底解説


執筆:株式会社Crescent ECコンサルティングチーム
(この記事は約8分でお読みいただけます)
「まずはAmazonに出品してみよう」。
EC事業を始める際、多くの企業がそう考えます。日本最大級のECプラットフォームとして圧倒的な知名度を誇るAmazonは、確かに魅力的な販売チャネルです。しかし、準備なく参入した企業の多くが「思ったより売れない」「広告費だけがかかる」「利益が残らない」という現実に直面しています。
株式会社Crescentでは、数百社以上のEC事業支援を通じてAmazonの運用の現場を熟知しています。本記事では、Amazonに出店するメリット・デメリットを包み隠さずお伝えするとともに、Crescentが実際の支援現場で発見した「一番の落とし穴」についても詳しく解説します。
Amazon出店を検討している企業の担当者・経営者の方に、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。
Amazonの出店形態を理解する|セラーとベンダーの違い
Amazonへの出店を検討する前に、まず理解しておくべき重要な前提があります。それが「セラー(Seller)」と「ベンダー(Vendor)」という2種類の出店形態です。
この違いを理解せずに参入すると、後述する「カート問題」という深刻な落とし穴にはまる可能性があります。
| 出店形態 | セラー(Seller)出店 | ベンダー(Vendor)出店 |
|---|---|---|
| 販売主体 | 事業者自身が出品・販売 | Amazonが仕入れ・販売 |
| 参入方法 | セラーセントラルから自由に登録 | Amazon側からの招待制 |
| 価格設定 | 自社でコントロール可能 | Amazonが決定(交渉余地あり) |
| 利益構造 | 販売価格-原価-手数料 | 卸売価格での売上 |
| カート獲得 | アルゴリズムに基づき競合と争う | ベンダーが優先されやすい |
| 向いている企業 | 小売業者・中小企業・新規参入者 | メーカー・ブランド企業 |
ほとんどの小売業者・中小企業・新規参入企業は「セラー」として出店します。一方、メーカーや有名ブランドはAmazonからの招待を受けて「ベンダー」として出店しているケースが多く、この違いが後述する「カート獲得問題」に直結します。
Amazonに出店する5つのメリット
まず、Amazonに出店することの主なメリットをご紹介します。
①圧倒的な集客力・トラフィック
Amazonの最大の強みは、その圧倒的なユーザー数と集客力です。日本のAmazonには月間数千万人ものユーザーが訪れており、自社でECサイトを構築した場合には決して到達できないような規模のトラフィックのモールに出品できます。
特に新規参入の企業にとって、「ゼロから集客する」という最大のハードルを大幅に下げてくれる点は非常に大きなメリットです。
- 月間数千万人規模のユーザーへのリーチが可能
- 商品を出品するだけで最低限の露出は可能となる
- 購入意識の高いユーザーが集まるため転換率が高い
②FBAによる物流・CS業務の外部化
FBA(フルフィルメント by Amazon)は、Amazonの倉庫に商品を預けることで、在庫管理・梱包・発送・カスタマーサポートまでをAmazonが一括で代行してくれるサービスです。
Crescentが支援してきた企業の中でも、「バックオフィス業務が回らない」「物流コストを抑えたい」という中小企業様がFBAを活用することで、運営負荷を大幅に削減できた事例が多数あります。
- 在庫管理・梱包・配送をAmazonに委託できる
- カスタマーサポート(返品対応含む)も代行
- Primeバッジが付与され、購買率向上に直結
③Primeユーザーへのリーチ
FBAを利用すると、商品にAmazon Primeバッジが付与されます。日本のAmazon Primeの会員数は数千万人規模とされており、Prime会員は購買頻度・客単価ともに高い傾向があります。
Prime会員はお急ぎ便・当日配送への期待が高く、FBA商品が優先的に選ばれる構造になっています。
- 購買意欲の高いPrime会員に直接アプローチ
- 配送スピードによる購買後押し効果が大きい
④システマチックな販売インフラ
Amazonは決済・レビュー・返品・問い合わせ対応など、EC運営に必要な機能がすべてプラットフォームとして整備されています。自社でECサイトを構築する場合に必要なシステム開発・保守コストが不要であり、出品に集中できる環境が整っています。
- 決済・セキュリティ・UI設計をAmazonが担保
- ブランドレジストリでのブランド管理
- 商品詳細ページのコンテンツ拡充も可能(A+コンテンツ)
⑤グローバル展開への足がかり
Amazonは世界20カ国以上でサービスを展開しており、将来的に海外販売を検討している企業にとって、国際展開への入り口としての役割も担います。
- 北米・欧州など海外Amazonへの展開が比較的容易
- グローバルセリングプログラムを活用した越境EC
Amazonに出店する5つのデメリット・注意点
ここからが本番です。メリットがある一方で、Amazonには見過ごせないデメリットと注意点も存在します。もちろん、このデメリットを解決するための方法やノウハウをCrescentでは持ち合わせておりますし、ご契約いただいた企業様へは共有をさせて頂いております。そのようなCrescentの経験から、支援現場で実際に確認されたリアルな課題をお伝えします。
①手数料・広告費による利益圧迫
Amazonへの出店には、販売手数料(カテゴリーにより8〜15%程度)、FBA手数料、月次の大口出品費用などが発生します。さらに検索上位を獲得するためのスポンサー広告費用も加わると、想定以上にコストがかさみ、最終的な利益が薄くなるケースが後を絶ちません。この辺りは、ECの事業計画を事前にひいて詳細に確認しておくことが必須です。
-
販売手数料
:
カテゴリーにより売上の8〜15%が発生
-
FBA手数料
:
商品サイズ・重量により変動
-
広告費
:
スポンサープロダクト広告なしでは露出が限られる
注意
採算シミュレーションなしに出店すると、売れば売るほど赤字になる構造に陥るリスクがあります。出店前に「Amazon手数料込みの損益試算」を必ず行ってください。これが、EC事業戦略と事業計画が必要となる理由です。
②価格競争への巻き込まれリスク
Amazonは価格の透明性が高く、同一・類似商品との価格比較がユーザーに容易に行われます。その結果、価格競争に巻き込まれ、利益率が低下するケースが非常に多く見られます。特に汎用品・量販品は価格以外の差別化が難しいため、価格競争の影響を受けやすい傾向があります。
- 同一商品・類似商品との直接的な価格比較が発生しやすい
- 価格を下げないとカートを取れない状況に陥ることがある
③顧客データの取得制限
Amazonでは、購入者の個人情報(氏名・住所・連絡先)はAmazonが管理しており、出店事業者はアクセスできません。そのため、リピート促進のためのDM・メールマーケティング・CRM活用が事実上できず、顧客資産を自社に蓄積することができません。
- 購入者の連絡先・住所にアクセス不可
- リピート購入促進のための直接コミュニケーションが制限される
- 自社ブランドのファン化・LTV向上施策が打ちづらい
④ブランド構築の難しさ
Amazonでの購買体験は基本的に「Amazon」のブランドが前面に出る構造です。消費者は「Amazonで買った」という認識が強く、「○○ブランドで買った」という意識が薄くなりやすい傾向があります。自社ブランドの世界観を大切にしたい企業にとっては、ブランド構築の観点でジレンマが生じやすい環境です。要するに、自社ECサイトと連携してAmazonでもブランド訴求をするやり方が求められます。スポンサーブランド広告により動画広告を出稿していくなど、ブランドを構築してくためには、各種対策が必要となります。
- ブランド体験がAmazonのUI・デザインに依存する
- 独自の世界観・ストーリーを伝えにくい
⑤ルールの突然の変更・アカウント停止リスク
Amazonはシステマチックに厳格なルール管理を行っており、規約違反・ポリシー違反と判断されると、事前通告なしに商品の出品停止やアカウント停止が発生することがあります。このルール変更の範囲はFBA領域、ブランド領域、セラーセントラル領域など多岐にわたります。また、Amazonのアルゴリズム変更や方針転換による影響を受けるリスクも考慮が必要です。
- 出品NGの理由が不明確なケースがある
- アカウント停止は事業継続に直結するリスク
- プラットフォームポリシーへの依存度が高い
- 出品NGやアカウント停止の理由が多岐にわたる
【最重要】Crescentが警告する一番の落とし穴
Crescentがこれまで数百社のEC事業を支援してきた中で、Amazon出店において「最も見落とされがちで、最もダメージが大きい」落とし穴があります。それが、「ワンプロダクトワンページ(相乗り出品)とカート獲得問題」です。
重要
Amazonの基本原則「ワンプロダクトワンページ(相乗り出品)」により、同じ商品(JAN・ASINが同一)は1つの商品ページに集約されます。この構造の中で、メーカー(ベンダー)が出品している商品を、小売業者(セラー)が同じASINで出品しても、ベンダーがカートを優先的に取る構造になるため、事実上「売れない」状態に陥ります。
具体的にどういうことか?
たとえば、あるメーカーAの商品をAmazon上で仕入れて販売しようとする小売業者Bがいたとします。メーカーAがベンダーとしてAmazonに卸しており、同じ商品がAmazon自体によって販売されている場合、小売業者BがセラーとしてAmazonに出品しても、カート(ショッピングカートボタン)はメーカーA(ベンダー)側が取り続けることになります。(相乗り出品のため、Amazonで出品するにも、メーカーAの許可が必要となるケースがあります。)
カートを持たない出品者の商品は、ユーザーが「他の出品者から購入する」という追加操作をしない限り購入されません。実際には、ほとんどのユーザーはカートボタンをクリックするだけで購入するため、カートを持てない出品者はほぼ売れない状態になります。
この問題は「一口にAmazonに出品する」と決める前に、自社商品のカテゴリーと競合構造を徹底的に分析することで事前に回避できます。Crescentでは出店前の競合・カート構造分析を必ず実施しています。
この落とし穴を避けるためのチェックポイント
- 自社商品のASINがすでにAmazon上に存在するか確認する
- 既存ASINの出品者構成(ベンダー vs セラー)を調査する
- 自社がオリジナルメーカーである場合は、ブランドレジストリを活用する
- 汎用品・仕入れ品でのAmazon参入は、価格・カート戦略を事前に設計する
Amazon出店に向いている企業・向いていない企業
Amazonへの出店はすべての企業に適しているわけではありません。自社の商材・ブランド戦略・リソースに照らし合わせて判断することが重要です。
| 向いている企業 | 向いていない企業 |
|---|---|
| 独自ブランドを持つメーカー・OEM製品の販売 | 汎用品のみで価格競争力がない小売業者 |
| 物流・倉庫管理のリソースが不足している企業 | 自社ブランドの世界観を大切にしたい企業 |
| 全国・海外にリーチしたい中小企業 | 顧客データを積極的に活用したいEC事業者 |
| ニッチカテゴリーで高評価レビューを獲得できる商品がある | 薄利多売モデルで広告費を捻出できない企業 |
重要なのは、「競合他社がAmazonに出しているから自分たちも出す」という判断は危険だということです。他社の成功事例がそのまま自社に当てはまるとは限りません。自社の商材特性・ターゲット顧客・利益構造を分析した上で判断することが、Amazon出店成功の大前提です。
よくある質問(FAQ)
-
Q
Amazon出店にかかる初期費用はどれくらいですか?
-
A
大口出品プランの月額利用料は4,900円(税別)です。これに加えて、FBAを利用する場合の倉庫搬入費用、商品撮影・ページ作成費用、広告予算などが必要になります。初期投資の目安は商材規模にもよりますが、最低限の体制を整えるためには数十万~数百万円程度を想定しておくと良いでしょう。
-
Q
Amazon出店と自社ECの両立は可能ですか?
-
A
可能です。ただし、それぞれのチャネルで役割を明確に分けることが重要です。Amazonでは新規顧客獲得・認知拡大を担い、自社ECでブランドの世界観構築・リピーター育成を行うという「チャネル設計」が効果的です。
-
Q
Amazonで売上を伸ばすために最初にやるべきことは?
-
A
まずは「商品ページの最適化(SEO)」と「FBA登録によるPrimeバッジ取得」を優先してください。次に小規模でスポンサープロダクト広告を開始し、データを見ながら予算配分を最適化していくPDCAが基本戦略です。
-
Q
Amazon出店のコンサルティングをお願いする場合、どこから相談すればいいですか?
-
A
Crescentでは、Amazon出店前の競合分析・商品戦略策定から、ページ最適化・広告運用・KPIレビューまで一貫してご支援しています。「まず話を聞いてみたい」という段階でも、無料相談を受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。
まとめ
Amazonに出店するメリット・デメリットを整理します。
メリット
-
メリット①
:
圧倒的な集客力・トラフィックへのアクセス
-
メリット②
:
FBAによる物流・CS業務の効率化
-
メリット③
:
Primeユーザーへのリーチによる転換率向上
-
メリット④
:
システマチックな販売インフラの活用
-
メリット⑤
:
グローバル展開への足がかり
デメリット
-
デメリット①
:
手数料・広告費による利益圧迫
-
デメリット②
:
価格競争への巻き込まれリスク
-
デメリット③
:
顧客データが自社利用として取得できない
-
デメリット④
:
Amazonのみだとブランド構築が難しい
-
デメリット⑤
:
ルール変更・アカウント停止リスク
そして最も重要なのが、「ワンプロダクトワンページの法則とカート獲得問題」です。メーカー(ベンダー)が出品している商品を小売業者(セラー)として出品しても、カートを取れずに売れない状態に陥るリスクがあります。出店前の徹底的な競合分析と、自社商材の特性に合ったチャネル戦略の設計が成功の鍵です。
Amazonは正しく活用すれば強力な販売チャネルになります。しかし、準備なき参入は多くの落とし穴があります。Crescentにご相談いただければ、貴社の商材・競合・リソースに最適なAmazon戦略を設計いたします。
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2015年早稲田大学大学院/経営管理修士(MBA)、現在、ECコンサルティングはもちろんのこと、組織コンサルティングや新規ビジネスプロジェクト等、様々な企画へ参画し、その辣腕を発揮している。
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